マルチエアコンって性能良さそうだけど

      2016/11/09

一石二鳥、三鳥、四鳥にもなるマルチエアコン

室外機1台で複数台の室内機を運転できる、マルチエアコンというものがある。一石二鳥、いや、一石三鳥、四鳥にもなるマルチエアコン。最大で7台まで運転できるものもある。

複数台エアコンの購入を検討している人は、マルチエアコンを購入候補にしているかもしれない。しかし、なぜだろう。こんな便利なエアコンなのに、量販店ではあまり見かけることがない。今回はそんなマルチエアコンについての話だ。

これとこれを買うからマルチにして。えっ?できないの?

店頭で売られているエアコンは通常、セパレートエアコンといい、室外機1台につき室内機1台が必要だ。価格も室内機室外機とセットの値段だ。そんなセパレートエアコンを何台か選び、マルチエアコンにすることは出来ない。

マルチエアコンは、マルチ専用の室外機とマルチ専用の室内機から選ぶ必要がある。大体が店頭には並んでおらず、専用カタログを見ての取り寄せになる。

マルチエアコンの価格は、カタログに表記されている事が多い。価格は目が飛び出るほど高額だ。ただし、これはあくまで希望小売価格や定価になっている。販売価格は販売店で確認しよう。実際にはカタログの表記よりも安くなるはずだ。ただし、セパレートエアコンに比べると高額になる。

性能と価格が相応じゃないマルチエアコン

イメージとして、高額な家電は性能が良いと思ってしまいがちだ。マルチエアコンも通常のセパレートエアコンに比べると高額であり、高性能なイメージがする。しかし、性能は至って普通だといえる。

エアコンの性能といえば、大きく2点によって評価できる。ひとつは省エネ性、もうひとつは機能性である。マルチエアコンは、このどちらもがまあまあ普通といったものだ。

省エネ性については、セパレートエアコンの方が優秀だ。省エネ性が高いものを比較すると、セパレートエアコンは省エネ基準達成率が110%〜140%前後だが、マルチエアコンは100%〜107%前後となる。

機能性についても、セパレートエアコンが優秀だ。エアコンには最新の機能がどのメーカーにもある。最新の機能とは、その機能を使用することで、省エネ性や快適性を向上させられるものだ。しかし、マルチエアコンにはほぼ、こういった機能は搭載されていない。搭載されている機能といえば、数年前に開発されたような機能だけだ。

このように、マルチエアコンは高額なだけでなく、性能が至って普通といったものとなっており、まだまだ開発の余地がある。

マルチエアコンはなぜ高額なのか?

マルチエアコンは性能は至って普通なのに、なぜ高額なのだろうか。その答えは、価格競争が起きにくいことにある。

セパレートエアコンは、発売時期から徐々に価格を落としていく。この価格下落の要因は、販売店の価格競争にある。単純な話だが、仮にA量販店がエアコンを20万円で売っていたとする。それに対抗してB量販店が同じタイプのエアコンを19万円で販売する。さらに、負けずとA量販店が18万円で販売しだす。価格下落の連鎖だ。どの量販店も利益を上げるのに必死で、自分の店で買ってもらいたいが一心で、ちょっとでも多く売るために、他店に負けない値段を付けるのだ。

それに比べ、マルチエアコンは店頭に並んでいなので価格競争が起きようがない。さらに工事がセパレートタイプと比べると少し特殊なので、おすすめしても簡単に売れる商品ではない。

こうした理由から、マルチエアコンは高額なのである。

マルチエアコンのメリットとデメリット

メリット

とにかくスッキリする。室外機が1つで済むため、外観がスッキリする。庭やバルコニーが広く使える。エクステリアにこだわりを持つ人向け。

デメリット

高額な割に省エネ性や機能性がぱっとしない。同じ予算でセパレートエアコンの方がいいものが購入できる。

故障時は大変だ。室外機が故障した場合、すべて運転できなくなる。大体エアコンが壊れるのは、真夏か真冬。一番使う時期に、エアコンが壊れたからといって、別の部屋で涼むことが出来ない。修理が終わるか、買い換えて工事が終わるのを待って耐えるしか無い。

まとめ

お住まいの構造上、マルチエアコンしか取り付けできない住宅もある。一部のタワーマンションやデザイン性が重視された建物なんかがそうだ。

しかし、そうではなくて、セパレートタイプにするかマルチタイプにするか迷っているなら、間違いなくセパレートタイプをおすすめする。そのほうが、同じ予算でいいものが購入できるだろう。

現状のマルチタイプは高額でありながら、それ相応の性能や機能を兼ね備えてない。メーカーは、もっともっと開発努力するべきだ。

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